高松高等裁判所 昭和28年(う)74号 判決
記録添付の前科調書に依ると被告人は昭和二五年一二月二〇日今治簡易裁判所に於て医師法違反に依り罰金一万円に処せられその裁判は昭和二六年一月五日確定したこと更に当審に於て弁護人の提出した省略式命令の写に依ると右裁判所は被告人が昭和二五年七月二八日から同年八月二〇日頃迄の間医師の免許を受けずして日浅高一外三名に対し痔疾の診療を為し報酬を得て医業を為した行為につきこれを医師法違反として同法第一七条、第三一条に依り処断したものであることが認められる然るに本件に於て原審が認定した原判示第一の医師法違反に係る事実は右省略式命令発布前である昭和二五年一〇月下旬の同種の違反行為であるところ無免許医業の如き職業犯にありては一旦公訴が提起せられるときはその裁判あるまでの同種の違反行為は包括して罪を構成するものであるからたまたま訴因に明示なきため審判の対象とならなかつた行為と雖その裁判前の行為は総て裁判を経たものと云うべく改めて公訴を提起することは勿論その公訴に基き之を審判の対象とすることは許されないものと云わなければならぬ然らば本件に於ける原判示第一の事実は既に確定した前記省略式命令発布前の違反行為であるからその起訴の不適法なことは言うを俟たずその起訴に基き之を審判の対象とした原判決は不法に公訴を受理した違法あることが明かである。